楽天、自前で物流施設 「ネット」「リアル」融合急ぐ アマゾン追撃 専用端末も開発

2010年04月30日 日本経済新聞より 楽天が自前の物流拠点の整備や独自端末の開発に乗り出した。サービス向上や収益の拡大には、従来のインターネット企業の枠を越えて、「リアル(現物)」領域でのインフラ構築が欠かせないと判断した。ネットとリアルを融合したビジネスモデルで競争力の強化を進める米国勢の潮流が日本のIT(情報技術)大手にも波及。覇権争いが一段と激しくなる。 「アマゾン・ドット・コムには電子書籍端末のキンドル・アップルには携帯電話のiPhone(アイフォーン)がある。楽天に必要な端末はどんな姿か考えた」。ネット商店街「楽天市場」の利用を便利にする専用端末開発のきっかけについて担当者は打ち明ける。 端末はどう使うのか。例えば、洗剤やティッシュペーパーなどの日用品。買い置きが少なくなったら、商品のバーコードを端末にまとめて読み込んでおく。時間のあるときに端末をパソコンにつなげば、手間をかけずに最安値の店舗を見つけられ、買い忘れも防げる。 端末は小型化し、身につけられるよう人さし指大にする方針。自前の物流拠点を使った即日配送サービスなどと合わせ、「さらに使いやすいネット通販」をアピールする。 楽天は全国の中小企業にネット空間への出店を促すことで急成長してきた。物流拠点や端末などリアルな領域への進出は、ネット企業が本来持つ「身軽さ」に反するリスクを抱える。だが「ネットとリアルを組み合わせ」て稼ぐという流れは、米国勢の戦略を見れば明らかだ。 2010年1~3月期の純利益が前年同期比69%増え過去最高を更新したアマゾン。好調さを支えるのは豊富な品ぞろえと迅速配送を可能にする大型物流拠点だ。独自仕様の電子書籍端末キンドルを投入することで、書籍配信サービスの使い勝手を高め、短期間で一大勢力に育った。 2000年代初頭まで、IT業界ではマイクロソフトの経営が最強とみられてきた。在庫リスクなどが発生するハード(機器)事業は抱え込まず、ソフトで利益を極大化するとの考え方だ。流れを変えたのはアップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」。ハードの開発・販売だけでなく、ソフトの開発・低価格での音楽配信サービスを丸ごと自社で展開。マイクロソフトとは対極的な手法で高収益モデルを手に入れた。 リアルな施設や独自端末は顧客の囲い込みなどに役立つ可能性がある半面、投資負担を背負う恐れがつきまとう。楽天はアマゾンに対抗する新戦略で成果を出せるか。日本のIT業界にとって注目すべき動きといえる。 「主要IT企業のネットとリアルの融合戦略」 アマゾン・ドット・コム―大型物流拠点による通販の迅速配送。端末と配信を組み合わせ電子書籍事業を拡大 アップル―音楽や応用ソフトの配信を売り物に、音楽プレーヤーや携帯電話を拡販 グーグル―クラウドサービスに対応するデータセンターの建設加速。携帯電話端末にも進出 マイクロソフト―音楽プレーヤー、携帯電話端末に参入。直営店網やデータセンターの拡充にも注力 楽天―全国に順次物流センターを設置。通販サイトを使いやすくする端末も独自開発

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