ネット通販店主が私塾 ヨコの連携、悩みも共有

2010年04月10日 日経新聞より

「まさやんか!」。東京・上野のアメヤ横丁でドライフルーツ店「小島屋」を営む小島靖久さん(34)が声をかけたのは、その日が初対面の、米カリフォルニアに住む日本人男性だ。 2人は通販サイトの経営者。メーリングリスト(ML)を通じて学び合う通称「私塾ゼミ」に、ともに参加していた。3月に都内で開かれた「卒業式」で顔を合わせ、すぐに打ち解けてハイタッチを交わした。 私塾ゼミは楽天に勤める仲山伸也さん(36)が個人で主宰し、参加者はネット通販の繁盛法のヒントやマーケティングのイロハなどを学ぶ。7~8人のグループで毎週2~3問の課題に対する答えを考え、消費者ニーズの分析力や商品のアピール法を磨く。 「毎日2時間半は回答を考えていた」と小島さん。回答の締め切り日には激論で1日に60通以上のメールが飛び交うこともあるという。およそ4ヶ月の研修で小島さんらのグループ内でやりとりされたメールはおよそ2000通に及ぶ。 中小通販サイトの店主は一国一城のあるじだが、孤独でもある。同業者の話を聞き、酒を酌み交わしても、「腹の底からの共感は持てなかった」と小島さん。 しかし、MLを通じて時には深夜まで意見をぶつけ合った塾生たちは、顔を知らなくても「同じ釜の飯を食べた仲間」と感じた。 「タグ付けが違うからじゃない?」「もっと視座を上げないと」。専門用語を交え、時に手厳しい指摘もあるが、本音のやりとりがきずなを強める。参加者の一人でスーツケースの通販サイトを運営する名鏡美和子さん(45)は「だんだんどんな人なのか会いたくなってくる」と話す。 初めてお互いが顔を合わせた卒業式は、全国からの参加率が8割を超えたという。小島さんは卒業してからも仕事の相談をしたいときは、近所の塾生を誘ってアイデア会や飲み会を開くことがしばしばだ。

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